
広告宣伝費の決め方には様々なアプローチがありますが、それぞれの方法には一長一短があります。企業(事業)の成長段階や市場の競争状況に応じて、適切な方法を考慮することが重要です。以下では、3つの決定方法について、そのメリット・デメリットを解説していきます。
競合企業の費用を把握し、それに準じた予算枠を設定する
【メリット】
- 競合企業の広告戦略を基準にすることで、市場の相場感を把握することが可能。
- 競争企業の広告宣伝費を把握することで、社内での説得力が上がる
【デメリット】
- 競合の広告戦略を模倣しても、自社の強みが活かされない可能性がある。
- 競合がターゲットとする層と自社の顧客層が一致しない場合、成果が得られにくい。
事業の成長度合いによる支出
【メリット】
- 事業の成長ステージに応じた柔軟な予算設定ができる。
- 新規事業や成長期の事業には積極投資し、成熟事業には変動費として抑えるなどの戦略が取りやすい。
【デメリット】
- 成長段階の見極めが不十分だと、無駄な広告費が発生する可能性がある。
- 事業の成長度合いを過信して過剰投資を行うリスクがある。
業種毎の売上高に対する広告宣伝費割合の決定
【メリット】
- 各業界の平均的な広告費率に基づくため、無理のない予算設定が可能。
- 売上規模に応じたバランスの取れた支出が期待できる。
【デメリット】
- 自社のビジネスモデルや市場シェアを考慮していない場合、過少・過多な予算設定になる可能性がある。
- 市場の変化や消費者行動の変化に対応しきれない。外部に要因による需要拡大や現象など。
費用を把握する方法としては、下記が挙げられます。
・企業のIR資料から予測する
・プラットフォームからの情報収集
・競合調査ツールを利用し把握
正確性という観点から申し上げると、上から順番に調査していき、自社の事業規模に応じた額を算出することが可能です。では、実際に企業のIR資料から下記に3社の例をみてみましょう。
その他にも、商品のROASからの算出、限界利益からの算出、等があります。
ご紹介した、上記のアプローチだけでは、デジタルマーケティングの世界は資本勝負になりがちです。 したがって、『誰に何を』伝えるかのコミュニケーション設計が重要となります。 ここが、担当者やその会社の腕の見せ所です。 担当者としては社内で説得しやすい材料が競合他社比較ですが、費用対効果を求められる場面では、 コミュケーション設計がうまくいっていないと行き詰まることもあります。 単に対象商品に興味がある人をターゲットとするのではなく、競合他社がすでに展開している手法との差別化が求められます。予算がいくらあっても足りない状況を避けるためにも、広告費の設定だけでなく、 コミュニケーション設計の策定が重要との認識で予算策定してみてはいかがでしょうか。